我が家の軌跡(奇跡)【3】
母の追憶は続く 暫くして突然、栗原さんが母を訪ねて来て、「入院患者さんより預かった書留封筒を電車の中でスラれ弁償しなければならないがお金がないし、実家にも行けないので何とかして欲しい」との事。仕方なく郵便局で明美名義の貯金通帳から10円下ろした。二時間程いたが、その間に夫のエッチ振りを散々聞かされ、お金を渡してやっと帰ってもらった。 その後、労災病院より、どうしても奥さんに話しておきたい事があるので来て欲しいと言われた。婦長さんに「中川さん(私の旧姓)の我儘は最近益々目に余るものがあり、他の患者にも示しがつかないので、奥さんに来てもらった。何とか話して止めさせて欲しい」と言うものだった。婦長の言うには父と栗原さんは午後になると外に出て、民家の一室を借りて2~3時間帰って来ない。何度も他の患者さんに目撃されていると言うものだった。
母は、自分の口から言って大人しく聞く人ではない事は目に見えていたので、足の痛みがその間だけでも忘れることが出来るのでしたら、どうぞ大目に見てやって下さい。と頼み込み、栗原さんの解任は留まってもらったが、それから何程もたたない内に、父から母に手紙が来た。”今度栗原さんからお金の無心があったら、絶対に渡さないように”と言うものだった。そして近い内に付き添いさんがまた代わるから・・・と。母は早速父に会いに行った。今までにない神妙な顔をして「あの女は大詐欺だった。全然知らずに今までずっと騙されていた。婦長さんの話しでは、栗原さんは大学の助教授夫人と言うのは真っ赤な嘘で、入院患者さん数人からお金を借りて返さず、又騙し取る名人で、会長さんから手に負えないのでクビにすると連絡があった」との事。母が貸した私名義の10円もとうとう返して貰えなかったと残念そうだった。
つづく
次回は クビになった栗原さんから父の元に手紙が・・・母も読んでしまう お楽しみに
2018年5月3日 (木)
カテゴリー: こばやし明美先生ブログ