我が家の軌跡(奇跡)【37】
成績の落ちた明美に、母は家庭教師を見付けてくれた。
キャンプ内の独身寮に住み、昼間は他の米軍キャンプ(相模原キャンプ?)で働き、夜は新宿の工業大に通って、帰りに必ずパンを買って帰る青年がいた。
母はその人がパンを買いに来るのを心待ちにしていた。
いつの日にか、お店の閉店時間は、その人次第になっていた。
他にもう来る人はいないのにその人だけの為に開けていたからが、9時過ぎていたと思う。
現役の大学生なので、母はその人に白羽の矢をたてたのだった。
数学を主に教えていただいた。
教え方がとても良く、頭ごなしに教え込むのではなく、一緒に考えようねと同じ問題を二人で同時に解く。
そんな勉強方法が功を奏したのか、数学、物理、化学でクラスでトップの得点を取るようになり、二年生の一学期にはクラスで三位となった。
家に帰るなり、「三番になったよ」と叫んだら、庭の手入れをしていた母はビックリして池に落ちそうになった。
【つづく】
2018年6月7日 (木)
カテゴリー: こばやし明美先生ブログ